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【荻原裕幸さん・5】
【題詠マラソン2004-荻原裕幸さん・5】
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041:血 血とは違ふ音を感じた暑気がまだかすかに残る廊下のすみで
立ちくらみ的脳貧血らしい。夏の疲れは涼しくなったころに一気に出るものでもある。お大事に。
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042:映画 映画なかばのあれが本心だつたのか淡くあかるい嗚咽のやうな
「淡くあかるい嗚咽のやうな」「あれ」とは何なのだろう。a音やあ行音が多いなかで、二句から三句にかけての「本心だつたのか」が異質。
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043:濃 ふたりしてまざりあつても濃くならぬ秋の路上に影を見つめる
北原白秋の『落葉松』や「秋の日のヰオロンの」(ヴェルレーヌ『落葉』・上田敏訳)を連想させる。秋の寂しさ・物悲しさが濃縮されているような感じがする。
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044:ダンス 雲の分布を雲のダンスと呼ぶやうな稚気を自身にゆるす日曜
高い空にある白い雲が次々に流されていく様が目に浮かぶが、こういう「稚気」を「自身にゆるす」ような心身の状態というのはあまり健康的でない気もする。
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045:家元 家元としての笑顔はあれほどに穏やかなさざなみだつたのに(笑)
読まなければ定型、読めばその分字余りになる、末尾の「(笑)」が疑問(私はこの記号を「しょう」の読みで辞書登録しているが)。気持ちのいい笑顔とは思えないだけに、「外面如菩薩内心如夜叉」のような印象が強い。
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046:練 死でもない喧嘩でもない訣別のゆふやけに練りこまれるいたみ
キリキリと胸が痛むような一首。蛇足ながら「夕焼け」は晩夏・天象の季語である。
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047:機械 機械ではないものとして揺れてゐた天まで熟れる秋の時間に
「機械ではないものとして揺れてゐた」ものが何か、ということを考えていてフーコーの振り子を連想してしまったが、素直に考えるなら縊死体のイメージか(前の歌に引きずられすぎか)。
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048:熱 文字と共にそれも消えた感熱紙のうすむらさきの雲の彼方へ
上の句の6・6・6の破調が「感熱紙」の頼りなさによく合っている。「うすむらさき」になる感熱紙はレジスターのレシート用紙などで(ライターの火で炙って遊んだ(^^;))、ファクスやワープロに使われる感熱紙はセピア色(薄茶色?)になっていくはず。
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049:潮騒 潮騒をたそがれが濾過してしまふひとつのこゑがここへ滴る
「潮騒」「濾過」「滴る」のつながりはさすがだが、全体のイメージはわかるようなわからないような。[046]以降を連作として読むなら怪談めいた雰囲気にもとれる。
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050:おんな ワ行音わづかに浮かぶくちびるがをんなだからと言つて噤んだ
「ワ行音」とu音がちりばめられた一首。wやuを発音するときの唇の動きを「わづかに浮かぶくちびる」としたところが面白いと思う。「をんなだから」で噤んでしまったのはなぜなのか。
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| 2004年09月24日20時04分35秒 牧野芝草 |
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